セブルス・スネイプは、「ハリー・ポッター」シリーズでハリーを上回る人気を誇るキャラクターです。
アラン・リックマンが演じた彼は、シリーズ内でも特に強い存在感を放つ個性的なキャラクターでした。
初登場時は憎まれ役として描かれていたスネイプが、最終的に主人公ハリーよりも人気を博した理由を、スネイプの生涯を時系列で紹介しながらその魅力を探ります。
尚、この記事にはネタバレが含まれるため、ネタバレを見たくない方はご注意ください!
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以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
名前 | セブルス・スネイプ |
誕生 | 1960年 1月9日 |
血統 | 魔法族とマグルの混血 |
出身校 | ホグワーツ魔法魔術学校 スリザリン寮 |
得意とする魔法 | 魔法薬学 闇の魔術 開心術/閉心術 無言呪文 |
映画版俳優 | アラン・リックマン |
スネイプは怖い印象を持たれがちですが、生徒想いの教師の一面もあります。
しかしハリーに対しては一貫して憎んでいる描写が多々あり、物語終盤まで、なぜハリーのことをそこまで嫌っているのか明かされませんでした。
また、スネイプはヴォルデモート率いる「デスイーター」とヴォルデモートに対抗する「不死鳥の騎士団」両方で活動しており、結局敵か味方かどうかかも、最後まで明かされませんでした。
結論から言うと、物語の最終章の最後にスネイプは味方で、ハリーの母親リリーの意思を引き継ぎ、ヴォルデモートを倒すために危険な二重スパイをしていたことが明かされます。
スネイプの幼少期
セブルス・スネイプは1960年1月9日にスピナーズ・エンドという荒れ果てた郊外に住む家庭に生まれました。
魔女の母とマグルの父の間に生まれた混血の魔法使いで、物心ついた頃から両親の仲は悪く、後の純潔思想を募らせていくことになります。
そして9歳の頃、後のハリーの母リリー(そして彼女の姉ペチュニア)と9歳の頃に知り合いました。
マグル生まれのリリーに魔法界のことを教えるうちに友達になり、スネイプはリリーがマグル生まれということを分かっていながら、彼女に恋をするようになります。
一方で、魔法が使えないリリーの姉であるペチュニアに対しては軽蔑的な態度を取り、マグルに対する差別的な態度を強めていきました。
後に「閉心術」の達人になり、無表情で過ごすことが多くなるスネイプからは、驚くべきほど感情豊かなエピソードが明かされます。
スネイプの学生時代
ホグワーツに入学した最初の日、スネイプはホグワーツ特急でリリーとジェームズ・ポッター、シリウス・ブラックと同じ部屋に乗り合わせました。
スネイプとリリーがホグワーツについて話し込む中、スネイプはリリーにスリザリン寮を勧めましたが、その会話を聞いていたジェームズが割り込み、「スリザリンに入るくらいなら自分は退学する」と反論します。
この一件で入学当初からジェームズとその友人たちとの関係は険悪になりました。
そしてスネイプがスリザリン寮に入ってからも、彼がすでに多くの闇の魔術を知っていることから同じ寮の生徒たちからも疎まれることとなりました。
スネイプは学生時代から魔術の才能に秀でており、ハリーもドラコ・マルフォイとの戦闘で使用した「セクタムセンプラ」や、吊り上げ魔法「レビコーパス」などを発明し、教科書の端に書き留めました。
寮では浮いた存在でしたが、監督生であったルシウス・マルフォイなど、のちに死喰い人となる人物と友人関係にありました。
ハリーの父ジェームズたちからのいじめ
スネイプは闇の魔術や純血主義を支持し、リリー以外のマグル生まれに対する差別意識を露わにしました。
更にジェームズがリリーに想いを寄せたことから、恋のライバルとしても激しく対立することとなります。
ジェームズはシリウス、ルーピン、ピーター・ペティグリューと徒党を組んでスネイプをいじめており、4対1という不利な構図ではありましたが、スネイプもただ受け身でいたわけではなく反撃することもありました。
ジェームズ達と対立する中でもリリーとの友情は続いていましたが、学年が上がる毎に2人の間に徐々が溝が生まれていきます。
そして5年生の時、リリーから完全に見放される悲劇が起こってしまったのです。
大好きなリリーとの決別
リリーは元々、闇の魔術とスネイプが仲良くしている学生達のことを心良く思っていませんでした。
スネイプの仲間のマルシベールがリリーの友人を傷つけたことがあり、リリーは「闇の魔術やその友人と付き合わないでほしい」と忠告しましたが、スネイプはその忠告自体が耳に入っていませんでした。
そして5年生のO.W.L試験の日、スネイプはジェームズとシリウスに一方的に絡まれ、「逆さ吊りにされ下着を皆の前で脱がされる」という辱めを受けます。
屈辱を味わったスネイプは激しい羞恥心と怒りに駆られ、更にはリリーがジェームズ達を止めようと動いてくれたことが更に恥ずかしさを加速させ、リリーのことを「穢れた血」と罵ってしまいます。
その後スネイプはリリーに謝罪しますが、彼女は元々スネイプが傾倒する闇の魔術を嫌っていたこともあり、関係は完全に崩壊してしまいました。
スネイプとリリーが絶縁する一方で、ジェームズは徐々に傲慢さを改め、7年生時からリリーと交際を始めました。
やがて2人は結婚することになり、後のハリーが生まれます。
最愛の人が自分をいじめた人間に盗られたことで、スネイプはジェームズに対する憎しみを一層募らせていきます。
リリーの命を助けるために二重スパイになる
スネイプは、ホグワーツ魔法魔術学校を卒業後、完全に闇堕ちしヴォルデモートの下でデスイーターとなりました。
リリーの心を取り戻すためには、最も優れた「闇の魔法使い」であるデスイーターになるしか道がないと考えていたのです。
リリーが闇の魔術を嫌っている事実には、リリーが死ぬまで気付きませんでした。
スネイプは、ダンブルドアが組織した秘密結社「不死鳥の騎士団」をスパイする役割を引き受けます。
しかし、スネイプがヴォルデモートにトレローニーの予言を密告したことで、リリーを含むポッター一家が危険にさらされてしまいます。
リリーを守りたいという強い思いから、スネイプはダンブルドアに助けを求め、この時から不死鳥の騎士団と死喰い人の二重スパイとして働くことになります。
しかし、その努力も虚しく、リリーとジェームズはヴォルデモートによって殺害され、唯一生き残ったのは息子のハリーだけでした。
ハリーを守ることを決意する
リリーが亡くなった後、スネイプはダンブルドアからハリーを守るよう助言されました。
『ハリー・ポッターと賢者の石』では、クィディッチの試合中にクィレルがかけた呪文に反撃し、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では狼人間となったルーピンからハリーたちを庇います。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、ダンブルドアを見つけるためにハリーを助けるため、アンブリッジに対して「真実薬はもうない」と嘘をつきました。
全作を通して見返してみると、スネイプは常にハリーを守るために行動していたことが分かります。
ダンブルドアを殺害
ダンブルドアの命を奪うようヴォルデモートから命令を受けたドラコ・マルフォイは、恐れをなしてその行動に踏み切れませんでした。
その結果、ダンブルドアはスネイプに助けを求め、「頼む」と伝えた後、スネイプによって命を奪われました。
味方のスネイプが何故ダンブルドアを殺害したのか
ヴォルデモートの復活後、再びデスイーターとして行動することになったスネイプ。
彼がダンブルドアを殺害した理由は、ヴォルデモートからの信頼を得るためであり、またドラコを守るためでもありました。
驚くべきことに、このダンブルドア殺害はスネイプとダンブルドア自身が計画したものでした。
ダンブルドアが亡くなった後は、スネイプは校長室にあるダンブルドアの肖像画と共にハリーを支える役割を果たします。
死の直前にハリーに記憶を渡す
スネイプはヴォルデモートの信頼する蛇ナギニによって致命傷を負います。
ヴォルデモートがスネイプを殺害したのは、魔法界で最も力を持つ「ニワトコの杖」の持ち主になるためでした。
ヴォルデモートは、ダンブルドアを殺したスネイプがその杖の所有者であると信じており、それを手に入れるために彼を殺害したのです。
傷ついたスネイプのそばに駆け寄ったハリーに、彼は自分の涙を「憂いの篩」に集めるように求め、自分の記憶をに託します。
そしてスネイプはリリーと同じ瞳を持つハリーの目を見つめ、「私を見てくれ」と言葉を残し、息を引き取ります。
映画版では、彼はその後に「リリーと同じ目だ」と付け加えます。
彼は最期までリリーを想い、ハリーの中で彼女の面影を見たかったのです。
ハリーたちが勝利できたのはスネイプの功績も大きく、彼のリリーへの愛情がハリーたちを支え、導いたのは間違いありません。
結局スネイプはいい人だったのか?悪人だったか?
スネイプは、作中でも善悪の判断が最も難しいキャラクターと言えます。
原作者のJ・K・ローリングも「スネイプな全てがグレー。聖人とも悪魔とも言えない」と語ったことがあります。
スネイプに悪人要素があったことは事実
スネイプが悪人だったと言われる理由は、スネイプが闇の魔術に傾倒し、デスイーターになった過去があるからでしょう。
リリーが何度もスネイプに「闇の魔術は危険だ」と忠告しているにも関わらず、意見に耳を傾けたことは、リリーが生きている間は一度もありませんでした。
その理由としては、スネイプが幼少期にマグルの父から愛されなかった経験からマグルへの差別意識があり、闇の魔術で力を得ることにしか興味を見出せなかったからでしょう。
たとえリリーを愛していたとはいえ、スネイプ本人に悪人要素があったことは間違い無いでしょう。
最終的にははダンブルドア側について二重スパイの役割を果たしたものの、その動機も「リリーの意思を引き継ぐため」であり、闇の魔術を否定したからではありません。
また、作中ではハーマイオニーを露骨に無視するなど、マグルへの差別意識が完全に無くなった訳ではない描写もあります。
以上のことから、スネイプが完全に善人と言い切るのは難しいでしょう。
スネイプには情に厚く義理堅い一面もある
後述するリリーへの愛以外に、スネイプは意外と義理堅い側面があります。
かつてジェームズやシリウスと対立していたリーマス・ルーピンに、定期的に脱狼薬を処方し支援していました。
ジェームズに匹敵する憎悪の対象であるシリウスに対しても、利害の一致から形式的に和解した後は、彼の身の安全を考慮しています。
アルバス・ダンブルドアには特別な恩義を感じていたのか、彼の呪いの治療に手を尽くし、本人から殺害を懇願されるまでサポートし続けました。
スネイプはリリーへの愛を貫いた
スネイプはリリーに深い愛情を抱いており、ヴォルデモートの「ポッター一家を殺害する」という計画を聞き、彼女を守るためにダンブルドアの側につくことを選びました。
リリーがヴォルデモートに殺害された後は、リリーを守れなかった後悔を抱きながらも、ハリーを最後まで守り抜く決断をします。
スネイプにとってリリーは生涯の想い人であり、ハリーを守る理由そのものだったのです。
ダンブルドアから二重スパイとしての役割を任されてからは、危険を承知の上でヴォルデモート撃破のための任務を最後まで遂行しています。
スネイプとリリーの守護霊が同じ
幸せな記憶から生まれる守護霊の呪文「パトローナス」は、術者によって有体となって出てくる動物が異なります。
興味深いことに、リリーとスネイプの守護霊は同じ雌鹿の姿をしています。
スネイプの深い愛が、この共通の守護霊を生み出したのかもしれません。
スネイプの名台詞「Always(永遠に)」
映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2』では、ダンブルドアがスネイプのパトローナス呪文で出てきた動物を見て、リリーと同じ雌鹿の姿をしていることに驚き、「まだリリーを愛しているのか?」と尋ねます。
するとスネイプは、「Always(永遠に)」とリリーへの愛を告白します。
全シリーズを通してもNo.1と言えるほどの屈指の名シーンで、何度見ても目頭が熱くなってしまいますね。
スネイプと各キャラクターとの関係
ドラコ・マルフォイ
スネイプとルシウス・マルフォイは、ホグワーツに入学したばかりの頃からの仲間でした。ルシウスはスネイプのことを高く評価していました。
ルシウスの息子ドラコ・マルフォイに対しては、ハーマイオニーが授業中に正解を出した後に茶化すドラコを褒めるなど、彼を気にかけていました。
また、ドラコがジェームズの息子であるハリーとの競争相手であることも、ドラコを支援する理由の一つと言われています。
ドラコもスネイプを尊敬していましたが、任務に失敗した父の立場がスネイプによって脅かされていると感じ始め、彼らの関係は次第に悪化していきました。
ヴォルデモート
スネイプはヴォルデモートから厚く信頼されており、ダンブルドアを殺害した功績も加わってデスイーターの中でもトップの地位に就きます。
実際にはリリーへの愛からヴォルデモートを裏切りましたが、一方でヴォルデモートのことを尊敬していた描写もあります。
続編『ハリー・ポッターと呪いの子』では、ヴォルデモートに殺害されたことを知ったスネイプ本人が、「闇の帝王の手にかかるなら光栄である」と言っていたからです。
自分のことを信頼してくれて、かつ闇の魔術のプロであるヴォルデモートに、一定の尊敬の念を抱く気持ちも少しだけ分かるような気がします。
ダンブルドア
スネイプがハリーを守ると決めたその日から、彼はダンブルドアに忠誠を尽くし続け、ダンブルドアの死後もその忠誠心が変わることはありませんでした。
そんなスネイプのことを見ていたダンブルドアも、スネイプのことを心から信頼するようになり、2人は打倒ヴォルデモートという目的の為に深い絆で結ばれた関係だったと言えます。
スネイプの最大の魅力は、愛情から来る勇気と行動力
この記事では、スネイプは結局のところいい人だったのか?という点に焦点を当て、彼の人生とその人柄について詳しくご紹介しました。
物語の中でも、現実でも愛され続けてきたスネイプは、これからも多くのファンに愛され続けるでしょう。
気になった方はぜひ映画や書籍で『ハリーポッタシリーズ』を見て見てくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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