L(エル)は、大場つぐみ・小畑健による漫画『DEATH NOTE』に登場する、難事件を次々と解決する世界一の名探偵です。
Lは主人公であるキラ=夜神月(やがみらいと)を追い詰めますが、結局Lと月はどちらが推理力に長けていたか、どうすればLがキラに勝てるかなどを本記事で考察したいと思います。
※漫画、アニメ、映画『DEATH NOTE』のネタバレを盛大に含んでいるため、ネタバレしたくない方はご注意ください!
結論:推理力ではLの方が月よりも優れている
筆者個人の考えでは、以下の状況から推理力ではLの方が月を上回っていると思います。
- 最初にノートに書かれた人物から、キラが日本にいることを推理した
- レイ・ペンバーが尾行していた者から容疑者を割り出した
- 監視カメラの映像だけで、月=キラという推測を立てた
- 第二のキラとキラ(月)が繋がったことを言い当てた
- 13日の嘘ルールを信じず、ノートの検証をしようとした
最初にノートに書かれた人物から、キラが日本にいることを推理した
月がノートに書いた最初の犠牲者は新宿の通り魔・音原田九郎でした。
死因が心臓麻痺という共通点だけで、Lは音原田九郎の死がキラによるもの=日本の報道を見ている=日本に潜伏していることを特定しました。
月は本物のノートかどうかを音原田九郎で試したことを忘れていたのか、最初のLとの直接対決で挑発に乗りリンド・L・テイラーを殺害し、その結果日本の関東にいることまで特定されてしまいます。
レイ・ペンバーが尾行していた者から容疑者を割り出した
月がFBIのレイ・ペンバーに尾行されてからすぐ、彼を葬るため拘置所にいる犯罪者を使って死の前の行動をどこまで操れるかテストしています。
Lはその情報から、犯罪者をテストした日付の前にFBI捜査官が尾行していた者の中にキラがいると読み、見事に当たっています。
月はFBIにより多くの容疑者を調べさせるため、尾行されて数日経ってからレイ・ペンバーを殺害していますが、Lの前ではその行動は無意味だったと言えます。
監視カメラの映像だけで、月=キラという推測を立てた
レイ・ペンバーの死の直前の不審な行動、彼の婚約者・南空ナオミの行方不明などが重なり、Lはレイ・ペンバーが捜査していた者の中にキラがいるという推測を立てました。
Lはレイ・ペンバーが操作していた2つの家族の自宅に監視カメラと盗聴器を付けさせましたが、月は様々なトリックを使って監視中でもバレないように犯罪者を新たに裁いたことでアリバイを作り、監視の目を解きました。
しかしLはその映像を見て月が一番怪しいと感じました。日本捜査本部メンバーには確率は5%程度と言っていましたが、Lの中ではほぼ確定していたのではないかと思います。
詳しい理由としては以下が考えられます。
- 月が自分の部屋で成人向け雑誌を読んでいたことから、「誰にも見られていないことを強調しているのではないか」と勘づく
- テレビのテロップに捜査員動員の情報を見て、月の反応を見た。Lがこの映像を見ていると分かってなお鋭い推理を言い当てたことから、「キラは負けず嫌い」との類似性を見出す
第二のキラとキラ(月)が繋がったことを言い当てた
第二のキラである弥海砂(以降ミサ)と月が繋がり、月はミサにさくらTV宛に「キラを追うことは止める」とメッセージを送らせました。
Lはあれほどキラに会いたがっていた第二のキラが途端に考えを変えたことは、キラがこのメッセージを書かせた=第二のキラとキラが繋がったと推理しました。これも見事に当たっています。
月は第二のキラとキラが繋がる脅威は無くなったと判断させたかったのでしょうが、Lに即座に勘破されてしまいました。
13日の嘘ルールを信じず、ノートの検証をしようとした
ヨツバキラの逮捕後、Lと捜査本部にノートの存在が明らかになった時、あらかじめ月がリュークに書かせていた嘘のルール「13日以内にノートに名前を書き続けなければ死ぬ」によって、50日以上監禁されていた月が潔白になりました。
全て月の計算ですが、Lは最後まで13日のルールを検証しようとしました。
未知の存在であるデスノートに書かれたルールを疑うことができるのは、月=キラである可能性を最後まで捨てなかったからで、結果的に間違っていませんでした。
月が勝てたのはノートと死神のアドバンテージがあったから
月がLに勝てたのは、デスノートに関するアドバンテージがあったのと、レムが月側(ミサの味方)についていたからです。
Lが知らない情報を存分に駆使し結果的に勝利しましたが、逆にいうとLは何の情報も無いところから月=キラまで辿り着き、あと一歩というところまで追い詰めています。
ミサの味方であった死神レムによってLは殺されてしまいますが、レムが私情が絡んでキラ側に加担していると推理することは、L側はほぼ不可能でしょう。
月がLより有能だった点も
月が完全に無能だった訳ではなく、活躍した場面もいくつかありました。
特にヨツバ編では、デスノートとキラの記憶を失った月がヨツバグループとキラの繋がりにいち早く気づいたり、奈南川に交渉を持ちかけたりと日本捜査本部の中で最も活躍していました。
もし月がデスノートを拾っていなかったら、Lと肩を並べるほどの逸材になっていた可能性も十分にあります。
デスノートを駆使したトリックは一貫して秀逸だった
Lの疑いを完全に晴らすことは出来なかったものの、月がキラとして暗躍する姿は見応えがありました。
- FBI捜査官(レイ・ペンバー)の名前を知るために犯罪者を操ってバスジャックを起こさせた
- ポテトチップスの中に小型テレビとデスノートの切れ端を仕込み、監視カメラの目をかい潜り犯罪者を裁いた
- ミサを助け自分の容疑を晴らすため、ノートの所有権を一度放棄しヨツバキラをLに追わせた
など、デスノートを駆使した月の頭脳が光る場面も多々ありました。
Lはどうすればキラ(月)に勝てたか
Lはどんな行動を取ればキラ(月)を逮捕出来たか、個人的に考察したいと思います。
日本捜査本部と決別し、L個人で捜査を進める
日本捜査本部(夜神局長・相沢・模木・松田等)が活躍した場面が全く無かった訳ではありませんが、キラ逮捕に絞って考えると足を引っ張っていた場面の方が圧倒的に多いように思います。
まず、月が夜神局長の息子であることで「月くんがキラであるはずがない」と皆が信じきっていたことが完全に裏目に出ました。
月の演技に騙されていたのもありますが、主に相沢がLへ月を解放するよう作中で2回詰め寄っています。
さらに、キラ逮捕のために法律に反した行いは出来ないという姿勢も、Lの捜査が制限されてしまうマイナス要因になりました。
ヨツバ編の時に一時決別した時もありましたが、もっと早くまたは最初からL個人で捜査をし、証拠を押さえた時点で日本警察に確保を依頼する方が良かったのではと思いました。
仮に最初からL個人で捜査していれば、第二のキラ(ミサ)が月と接触した時点で(ミサ自身に監視カメラと盗聴器を付け、月とのやりとりやノートでの犯行を確認する等)事件は解決していたように思います。
実写映画版ではLが勝利した世界線が描かれる
実写映画版『デスノート the Last name』では、Lが死亡せず月に勝利した世界線が描かれています。
その勝ち筋は、Lが自身の名前を書き込み23日後に死ぬ=23日間はデスノートで殺せない状況を作った上で、レムにLを殺させ(実際は演技)月の自白を引き出すというものでした。
これには賛否両論ありますが、個人的には一つの答として有りだと思いました。
Lに勝利して欲しかったという気持ちも少なからずあるため、自身の命と引き換えに月を追い詰めたシーンは圧巻でした。
まとめ
Lとキラ(月)の壮絶な戦いはキラが勝利しますが、作中で最も頭が良いのはやはりLだと思います。
しかし、デスノートという最強の武器とキラに味方する死神の前には勝てませんでした。
Lが殺されてしまったのは残念ですが、Lの意思を継ぐニア・メロがとの対決に入る第二部も見応えがあるため、全体を通して好きな作品です。
ニア・メロを中心とした第二部についてもいずれ考察していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。